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夜のおくりびと・・・

遺体搬送屋の独り言

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指輪

「妻が自宅で死亡してまして、今警察の検死が終わったので処置をお願いしたいのですが・・・」

夜が明けて間もない早朝にその電話は鳴った。

私は処置セットやドライアイス、ポリマーシーツ等の準備を整え、早々に出発した。


インターホンを鳴らすと初老の男性が出てきてくれた。

亡くなられた奥様のご主人だった。

ご挨拶も早々に、早速処置に取り掛かった。

お風呂場で倒れられ、そのまま亡くなられてしまったらしい。

ただ発見は早かった為、処置自体は問題無かった。


処置も終わりに近づき最後に手を組もうとしていると、ご主人がどこか懐かしむように

奥様の手にしている指輪を見つめながら話してくれた。


「その指輪は結婚して間もない頃、私が勤めていた鉄工所で仕事の合間に作ったもの
なんです。」

「その頃はちゃんとした指輪を買ってやれる甲斐性が無くて・・・」

「その後、生活も落ち着いて、ちゃんとした指輪買ってやったんですけどね・・・」


そう言ってご主人は奥様の手を握り、そのお顔を愛おしそうに見つめた。


「そうですか・・とても大事にされてたんですね・・・」


どんなに高価な指輪よりも、ご主人の思いが詰まった手作りの指輪の方が、

奥様にとってはとても大切だったんだろう。


処置を終えた帰りの車の中、私は心がとても温まっていくのを感じた。

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