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夜のおくりびと・・・

遺体搬送屋の独り言

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最後に話したこと#3

ご自宅に着くと、すでに他のご親族の方々も玄関前で心配そうな面持ちで
到着を待っておられた。
簡単にご挨拶させて頂き、早速ご安置させて頂く部屋を確認させて頂いた。
その後、ご親族の方にお手伝い頂きながら無事にお棺をお部屋へご安置することが出来た。

あらためてご挨拶をし、ご遺体の状況をご説明させて頂いた。
ご遺族の顔がすでに強ばっていたので、言葉を選びショックが少しでも少ないよう
慎重に行った。
ご遺体の状況があまり良くなく、緊急用パウチのまま棺へ納めさせて頂いている事。
お棺の蓋を開けると、かなりの臭いが充満する事。
ご遺体の保持の為ドライアイスをお入れする事。(臭いが多少和らぐ効果もあると言う事)
何も身に付けられていないので、パウチの上から白装束をお掛けする事など・・
ご遺族の了承を頂き、早速処置に取り掛かった。

お棺の前で一礼し、蓋を開けるとたちまち臭いが部屋に充満した。
ご遺族の方々は少し離れたところから処置の様子を伺っていたのだが
その臭いに驚いた表情で、女性の方は口元を手で押さえながら別の部屋へ移動された。
何度も経験している私でさえ、慣れると言うことがないので当然だ。
それでもご遺族の一人で故人と最近まで親交が深かったと言う男性は、
そんな中、部屋からは出ずに処置中の私に故人様の話を始めた。

故人様は離婚なさっていて、今はお一人で暮らしていたこと。
たまに集まって皆で食事をするのを楽しみにしていたこと。
最近、あまり体調が優れないとおっしゃっていたこと。
それでも頑張って仕事を続けられていたことなど。
「ついこの間、電話で話したばっかりだったのに・・・」
その内容は仕事の事や、ここ最近の近況などいつもと変わった様子もなく
もちろん体調は相変わらずあまり思わしくなかったそうだが、それでも
突然こんな事になるとは想像もされていなかっただろう。
発見された時は吐血されていてそのままお亡くなりになっていたそうだ。

「また皆で集まって食事でもしながら、ゆっくり話したいなぁ・・」
「今でも故人と”最後に話したこと”がはっきり耳に焼き付いてて・・」
それ以上は言葉にはならないようだった。

すべての処置を終え、ご遺族にご挨拶をし、その場を後にした。
寝台車を走らせながら、空に浮かぶ月を見て何とも言えない気持ちになった。
それと同時に、一日一日をもっと大切に生きようと思った。

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